老後資金はいくら必要か

5月 24, 2021 相続

100歳まで生きるとしたら老後資金はいくら必要?

人生100年時代と言われ、リタイアしてからの年数が長くなると、老後の生活設計が大変です。昨年厚生労働省が発表した2019年現在の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳となっています。これから90歳まで生きるのは普通で、長生き家系であれば人生100年も大げさではなくなりました。

  • 高齢者の生活費はどのくらい?

最初に老後の基本的生活費を把握してみましょう。2019年の総務庁の家計調査によると、女性の一人暮らしで約15万、夫婦で24万円程度とわかります。これをベースに、地域性や自分が望む生活レベルや内容を加味して考えてみましょう。

  •  いくつまで働くか?

何歳までどう働くか、で老後に必要な資金は違ってきます。自営業者なら、健康でさえあれば生涯働くこともできるでしょう。また年金も原則65歳開始ですが、今は60~70歳で選択でき、65歳より前に繰り上げると年金が1カ月ごとに0.5%減り、66歳以降に繰り下げると同0.7%増えます。22年4月には選択期間が75歳まで広がり、繰り上げの減額率は同0.4%に縮小します。70歳まで繰り下げると年金額は42%も増加します。仮に同じ計算を75歳まで繰り下げると仮定して当てはめると、年金額は84%増となるのです。

一つの考え方としては、老後設計を、60歳まで、60歳から75歳まで、75歳以降の3つに分けます。60歳まではせっせと働いて蓄財し、ローンなども完済し、住まいの手入れも済ませておきます。その後はペースダウンして75歳までゆる~く働き、65歳までに蓄えた資金を温存します。この間、個人年金などを併用しても収入の足しにしながら、旅行や趣味を満喫します。70歳または75歳から大幅に割り増しされた年金額を受け取るようにして、年金だけでも生活できるようにします。60歳までに蓄えた資金は、75歳以降の趣味の費用や医療費、高齢者施設の入居などに充てることができます。

  •  老後はどこで過ごすか?

老後をどう過ごしたいか、健康か否かで、用意すべき金額も大きく違ってきます。子供に頼ることはできなければ、自宅で介護保険を利用するか、施設を利用するかですが、どんな施設かによっても、用意すべき金額はかなり異なります。

  •  自宅で暮らす

できるだけ自宅で過ごしたいと考えている人も、配偶者を見送って一人になると、あるいは最初からお一人様なら、高齢になって家事が面倒になると、やはり施設を考えるようになります。できるだけ自宅で過ごすには、前もってバリアフリーや手すりの設置などのリフォームは済ませておきましょう。住まいの改造費、介護保険の自己負担、ディサービスの利用料などがかかります。 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、2016年時点で男性が72.14年、女性が74.79年です。平均寿命との差は男性9歳、女性13歳程度あります。健康な方でも80歳から介護費用も考慮して計画を立ててみましょう。 ディサービスの利用料は要介護1で7~8時間利用すると、自己負担1割負担であれば入浴加算、機能訓練、おやつ代、昼食代で1日1,400円程度となります。

  •  有料老人ホームに入居する

今まで暮らしていた自宅の広いスペースから、ワンルーム生活に移行するには、家具もほとんど処分し、断捨離をすることになります。これが一仕事になります。自立型の高齢者施設には1LDKや夫婦用の2LDKもあり、コンパクトな自宅生活に準じた生活が可能です。一般的に入居一時金は数百万円以上、月額料金15~30万円かかります。 利用権ではなく、分譲タイプの高齢者専用マンションもあります。共用部分が多いのですが、その分譲価格は数千万円から1億円程度と高くなり、管理費もサービスに応じて高額となります。

  •  サービス付き高齢者向け住宅を利用する

食堂併用の賃貸住宅で、その他のサービスや受け入れ対象は施設によって大きく異なります。大浴場はないのが一般的ですが、ディサービスが平成されている場合は機械型や個人向けの浴室が併設されています。1ルームが多く、賃貸と言っても家賃は高く、試算すると有料老人ホームに入居と変わらない費用が掛かるケースもあります。

  • 有料老人ホームに入居する(入居時要支援・要介護)

最初から介護保険を利用して入居する施設の居住スペースは、トイレと洗面がついている程度の1ルームがほとんどです。入居一時金はゼロの施設もありますが、都内であれば多くは数百万程度で、月々の費用は20万円程度、その他に介護費用の自己負担分や光熱費等が必要です。月々の費用も施設によって大きく異なります。疾病の内容によって受け入れの可否も施設で大きく異なります。外出等の生活の自由も自立型と比較すると制限されます。

その他、生活費の安い田舎に住み替えるなど、Uターンしてスローライフする場合は、年金と自宅の売却費で老後の費用を賄えるかもしれません。老後の生き方で必要な費用が全く異なりますので、どんな生活がしたいかの計画が大切で、必要であれば自分に合った老人ホームなどの目安と費用なども、事前に調べておきましょう。

かつて老後2,000万円貯蓄が問題になりましたが、総務省の家計調査によると、高齢者の平均預貯金額は2,300万円を超えています。4,000万円以上ある方の比率が最も多く16.5%です。 ただし300万未満という方の割合も16.2%となっています。お金に回る範囲で生活するしかないので、生活費を年金の範囲できりつめ、どうしても自力で生活できなくなったら特別養護老人ホームに入所し、終末医療費と葬儀代で300万円の貯蓄で生きるという人もいるでしょう。 結局どう過ごしたいかのライフプラン次第で、プランに見合った金額を準備することになります。どうしても無理となると、資金に見合った生活スタイルを見直すことになります。やはり若い時からの人生設計と生活管理が重要となります。

投稿者: las2021

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