月: 2021年7月

路線価の役割と決まり方

路線価とは、国や地方自治体が定期的に公表する、土地の公的な価格の一つです。相続税を計算する際に使われるため「相続税評価額」とも呼ばれます。国税庁が原則、毎年1月1日時点の土地の価格を判定し、7月上旬に公表します。土地の公的な価格には路線価のほか、公示地価や基準地価、固定資産税評価額があります。

        公的土地の価格

路線価の価格のベースとなるのは別の公的な土地の価格である「公示地価」です。公示地価は一般の土地取引での目安となるほか、公共事業で民間から土地を取得する際の補償金の基準としても使われます。公示地価は国土交通省が全国で選定した約2万6000地点の地価を不動産鑑定士に依頼して調べた結果です。

コロナ禍で6年ぶりに路線価が下落

国税庁が7月1日公表した2021年分(1月1日時点)の路線価によると、標準宅地の路線価(評価基準額)の全国平均値は前年比で0.5%下回り、6年ぶりに下落しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響でインバウンド(訪日外国人)需要が減少し、観光地や繁華街などの路線価が下落しました。一方、地域の拠点となる駅前の再開発が進むなど、地方では路線価が上昇している地域もありました。

路線価は、国税庁が全国の主な道路に面した約32万5000地点について、1平方メートル当たりの評価額を算定したもの。相続税や贈与税を計算する際の基準になる。国土交通省が土地取引の指標として公表する公示地価の8割を目安に、売買事例や不動産鑑定士の意見などを参考にして国税庁が算出しています。https://www.rosenka.nta.go.jp/

国税庁は2020年分と同様、新型コロナ感染拡大の影響などによって時価が大幅に下落した場合に備え、時価の動向に応じて路線価に一定の調整率をかけて減額修正する措置を検討しています。再調査は、時価の下落幅や、納税者への影響などを考慮し判断されるものです。